ジョンロブ フィリップ2 何が凄いのか 購入から一ヶ月履いてみて

こんにちは、まった。です。
さて今回はとうとう買ってしまった、2月の記事では罷り間違っても買えないと言っていたあのブランドに行ってきました。革靴に興味がない人でも聞いたことがあるであろうあのブランド、そう、ジョンロブ(JhonLobb)。

今回は購入しての感想や思うところを書いていこうと思います。

ジョンロブって、そもそも何で買ったのよ

さて今回「買う」という表現をしている通り、既成靴を路面店にて購入しました。ジョンロブの真髄はビスポークにあると思うのですが、とても私には手が出せません。
イギリスでビスポーク店として創業したジョンロブは現在も創業者の一族によりJHONLOBB.Ltdとしてロンドンでビスポーク専門店として運営しているそうです。現在JHONLOBBとして購入できるものはパリに出店後エルメス傘下となってから既成靴コレクションを展開していったいわゆるジョンロブパリというようです。こちらもバイリクエストやビスポークも受け付けているとのことです。

1番大変だったのは嫁へのプレゼンでした。
趣味として好きになった革靴の世界でトップと言われるものを一度は履きたくなり、一体何がそうなのか知りたくなり、沸々と購買意欲が湧いてきてしまいました。欲しいと思ったら最後な幸せ脳なので、なんとか説得した一部始終も参考までに載せておきます。

「男子たるもの、ここぞというときに黒のフォーマルな靴が一足あった方がいいと思うんだよな」
うんうん
「で、やっぱり見た目としてもしっかりして上品なものがいいと思うんだよな」
うんうん
「ということはジョンロブ買うべきだと思うんだよな」
うんうん…?
「円安と物価高もしばらくこのままだとすると海外製のとりわけ革製品って値上がりする一方だと思うんだよ」
う、うん
「買うなら早めがいいと思うんだよな」
その靴を買うために今から貯金すれば?
「いや、それだと結局履かない期間が本来履けたはずの期間を失っているということになると思うんだ。」
じゃあ早く貯めれば?
「お願いします。買ってから貯めるので買わせてください。」
うーん…
「丸の内でデートもしよう」
もう何言っても聞かないでしょう、仕方ないなあ

と、購入資金は家計とは別の自分の自由になるお金にも関わらず、なぜか一年間毎月5万円貯金するという約束までするという非常に建設的なやりとりを行いました。
生活力でみたら圧倒的に嫁の方が正論ですね…。

Philip2 レビュー と一ヶ月後の姿

気を取り直して、今回紹介するのはこちら。プレステージラインの「Philip Ⅱ」です。
こちらは以前の記事で量販店を巡っているときにちらっと見かけて、それ以来ずっと脳裏に焼き付いていた靴になります。自分の中ではCityⅡよりもWilliamよりも、まさしく王道のシューズという感覚でした。

もはや散々語り尽くされたこの圧倒的存在感。現代的な優雅さと普遍的な質実剛健さが調和したシェイプ。目に入れても痛くないとはまさにこのことですね。

シームレスヒールはプレステージライン特有の作りこみ。このフィリップ2ではヒール部分、ヴァンプ、トウと大きく三つの革だけで作られています。
そして履き口にみられる革の厚み。
非常にきめの細かいハリのある若い革を使いながらもしっかりとした厚みがあり、しかもあろうことか3層。内側のライニングまで滑らかな革が使用されています。

一ヶ月後

一ヶ月ほどかけて約10回ほど履いたところ。親指と小指の屈曲が激しいところ、特に私の場合親指の付け根あたりに深い皺が入りがちなのですが、目立ちはするもののかなり抑えられています。
このタイミングで、しっかり汚れ落としと磨いていこうと思います。

一気に復活しました。正直日々ブラシと乾拭きくらいで十分綺麗に保てますが、やはりクリームを入れて磨くとツヤもハリも感じます。

全体としては皺の入り方も細かくじわじわと入っていっている印象。

個人差がありますが、履き心地はすごく良くストレスは全く感じません。ボールジョイントあたりは適度に締まっていて心地よく抑えられ、甲の立ち上がりもしっかりフィットします。土踏まずもしっかりアーチに沿ってくれます。踵が大きいとよく言われており、確かに大きめです。しかし数回履いているうちにしっかりついてくるようになりました。
何より脱ぎ履きのしやすさに感動しました。タンが片方縫われていて奥に入り込まないるのも効いてます。履き口も大きめな感じがしますが、シュポッという音と共に靴に足が吸い込まれるような心地よさがあります。このノンストレスさはいつでも履きたい気持ちにさせてくれます。
とはいえやはり履き心地に関してはそれぞれの足の形に合う合わないはあるものです。

個体差など

さて、気になるのはここかと思います。結論から言うと、めっちゃ個体差ある。天然皮革製品なので当たり前なのですが、素材と技術は別問題かと思います。
まず素材について。今紹介している靴では、ヴァンプ部に縦にトラと呼ばれるようなスジがあります。これは仕方ないことで、それでも良質な革で作られていることに変わりはありません。勿論スジがなく綺麗な革の方が見た目は良いかもしれませんが、特に靴としての機能的な問題もありません。むしろ左右とも同じように入っているので凄いとすら思いました。

気になったのは、ソールの接着剤がはみ出していてポロポロ取れたり、ヒールの大きさが左右で違ったりする点でしょうか。
これに関しては手仕事であるが故だとは思うのですが、人為的にこだわって作れる部分だと思うのです。
ソールの接着やヒールの大きさが違うのは歩行時や機能としても不安を感じる部分でもあります。まあ今のところそれで何か起きているかと言われると問題はないのですが、やはりこうしたところにクオリティを感じてこその職人技の特別感、とも思います。

総じて満足感は高い

さて購入時点でPhilip2は312,400円でした。年々値上がりしていますし今後どうなるのかも正直わかりません。
昔の方が質が良かったなんてお話も聞きますが、昔を知らない私からすると現在国内のショップで手に入る既製靴として間違いなく素晴らしい製品かと思います。店舗での接客体験や店舗空間を楽しむところも含めて全く後悔はありません。
履き心地も良く足に合い、背筋が伸びる気がします。

靴に30万というのは興味無い方からしたらとんでもないことかとは思います。3万円台でも良い靴は買えますし、ブランドアピールをするようなプロダクトでもありません。実際仕事仲間の誰にも気づかれません。数人、良い靴ですねと声をかけてくれるくらいのもの。
しかしそれこそが革靴の魅力かなと思います。派手にアピールせずにしっかり足元をキメてくれる、自分だけがわかる上質な物。
一生に一回くらい、コレと決めた物を手に入れるのも良いなと思うのでした。