大失敗①-油染みを落とす-

こんにちは、まった。です。
さてみなさんはとても大切に思っているのにほんの少しの気遣いが足りないばかりに、たった一度の失敗のために取り返しのつかない事になってしまった経験はありますでしょうか。それでもなんとかして取り返そうという、今日はそんな内容です。

油染み

コレ

見事な油染み
濡れティッシュを被せて1日後。少し薄くなったものの広がってしまっています。

いや、まじかぁ・・・ってなりました。
ある日、ソールガードを塗りこんでいた時のこと、靴底からはみ出て垂れてしまっていたのです。アッパーをつたってシューレースまでツーっと。
なぜかアッパー部はほぼ無事ですぐ取れたのですが、紐に染みた分や縫い目から見事な染みが広がっていました。
しかもこの時はまだ履きおろしたばかり。なんで雑な塗り方をしてしまったのかと3分程後悔をします。
気持ちを切り替えて、しっかりケアできれば今後永く付き合っていく間に起こりうる事にも対処していけるだろうと考えます。

まず発見したこととして
①ソールガードはつまりオイルなのでめちゃくちゃ吸収する。
②プレメンテでレノべイターを塗っていたためか薄いワックス分がアッパーを守ってくれた(おそらく)
③今回の染みは100%油染み

ケアの方法として
①薬剤を使わない方法
②クリーナーを使う
③強いリムーバーに頼る
④補色する
と整理しました。
個人的には履きおろしたばかりなのでクリーナーまでで綺麗にしたい。

濡れティッシュ


いかに優しく落とすか、を念頭にまず試したのが「濡れティッシュを貼る」でした。
柔らかめのティッシュに水を染み込ませて、汚れた部位の周辺広範囲に貼り付けます。乾いたら貼り直して1日たった姿が上の写真。
実はこの時点で少し薄くなっています。ですが、かなり広がってしまいました。
どうやらこれは表面張力で革内部の油分を濡らした紙に吸い上げるという原理のようです。

何度も繰り返したら取れるのかもしれませんが、ちょっと広がりが気になってきたことと、長時間水分にさらしておくことが怖かったので(新たな染みを生み出すかもしれないので)終了します。
今回のように直接油を垂らしたような染みはきついですが、ちょっとした油染みなら対処できそうです。

ステインリムーバー

さていよいよ薬剤投入です。
今回100%油染みというのはわかっています。わかった上で一旦、M.モゥブレィのステインリムーバーで磨きます。
布にとって患部をトントンと叩き、染みてきたら優しく擦る

ほぼ効果なし
まあそうなんです。水性の汚れ落としで優しく落とすためのものですから、油分をがっつり落とすようなものではないのです。とはいえ、周囲にうっすらとあった染み程度は目立たなくなります。
突発的な汚れなどでその日中に対処する時には優しく効果的に使えることと思います。

Bitly

ツーフェイスプラスローション

そして本命 コロンブス ブートブラックのツーフェイスプラスローション
こちらは乳化性のクリーナーで、水分、油分どちらにも効く(はず)。評価の高いクリーナーです。
水性油性と2層に分かれた液をよく振って混ぜて乳化させて使います。
布に染ませて、トントンと叩き、染みてきたら優しく擦る、抑えるように叩き、優しく擦るを繰り返します。一気に行うのではなく、数分かけて乾いたら再度行います。
イメージですが、こすり落とすのではなく、叩いて浸透させて油分を浮かせて、浮いた部分を拭いとるような感じです。ゴシゴシ擦るのは多分ダメ。

実はこの時染みがかなり広がって焦ります。ですが一旦落ち着いて、きっと水分によるものだと思ったので乾かします。
そして結果は・・・

かなり改善。注意してみないとわからない程度に薄くなりました。ほっと一安心。

かなり綺麗になりました。
ヴァンプ部分に染みてたものはすっかり消えて、紐のあたりが少し濃くなっている程度。注意してみないとわからないくらいまでになりました。
ここまで綺麗になれば御の字。これ以上強い薬剤は使いたくないので、染み抜きは終了です。
この後デリケートクリームを塗り込んで、レノべイタークリームを薄く塗りました。

Bitly

磨き上げ

さてそんなこんなでなんとか染みは綺麗にしてから一週間程経ち結構な歩数を歩いたこともあったため一度しっかり保革を兼ねて綺麗にします。
実はポツポツと雨が降った時に雨粒の後がそのまま染みてしまうことがあり、蒸発してすぐ綺麗になるものの気になってはいたのです。

サフィールのコンディショニングクリーナーを使い靴全体を綺麗に拭きます。
染み抜きで色々やってしまっていますし、部分的な処置をしていたのでそう言った意味でも両足揃えてリフレッシュします。以前にも使いましたが、洗浄力よりも保革に重点を置いたクリーナーになります。
これだけでも拭き上げると綺麗な表面が出来上がるのですが、デリケートクリーム、レノべイターと順に塗ります。
各手順で薄く塗りこみ、ブラッシング、乾かして乾拭きをします。
最後に、この靴には使っていなかったクレムのニュートラルを塗ります。油性クリームでワックス分も多いので表面保護も兼ねています。
これも指で薄く塗り広げ、ブラシでさらに広げるようになじませて、乾かしたら乾拭きします。

ほぼわからなくなりました。よかった。



この靴は以前紹介したカルミーナの靴でルスティカーフという素材です。手触りは柔らかく細かい凹凸加工が上品な質感を出していたのでワックスの多いクレムは塗らずに楽しもうと思っていました。
しかしながら、ある程度表面の保護が重要ということに気付かされましたので、今回のメンテナンスではうすーく塗りこんでいきました。
磨いたばかりなので色が少し濃くなっていたり少しギラっとした艶感が出ていますが革は改めてもちもちとした感触になり、水をつけてブラッシングしている時も表面で染みるようなことは防いでいましたので、よしとします。

今回は油染みへの対処でしたが何よりもすぐに対応できたことが1番だったと思います。時間が経ってがっちり残った染みではこうはいかなかったかもしれません。本当はこんな短期間で薬品やら油やらを使うつもりはなかったのですが、発端は自分の間抜けな失敗だったのでなんとか取り返せて胸を撫で下ろしています。